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WIXOSS/メタゲームの変遷 1年目

 世は大カードゲーム時代。昨今では新たなTCGが誕生してはすぐに消えてゆき、いずれ名前も記憶から薄れてゆく時代だ。

 歴史の長いTCGはルールや環境の調整がある程度しっかりとされており、それ故に安定している。そんな中で、新規のTCGは試行錯誤しながら自分が生き残る道を切り開いてゆかねばならない。
 既に開拓されているかのように見える分野に新進気鋭が切り込んでいく難しさたるや、語るまでもない。
 そういう時代であるからこそ、生き残ったTCGにはドキドキするような歴史が眠っている。販売戦略の歴史、イベントの歴史、そして。

 今年で発売5周年を迎えたTCGである『WIXOSS』。親も親、元祖TCGである『Magic: The Gathering』に比べれば1/5ほどの長さであるが、それでもこの5年の中には様々な歴史が詰め込まれている。
 5周年を迎え、今なおVtuber『にじさんじ』とのコラボや公式によるユーザー出展、更には日本工学院とのコラボといった新たな挑戦を続けるWIXOSS。その全てを語りつくせるほど、自分はWIXOSSの全てについて詳しくはない。
 ただの1プレイヤーでしかない。

 ただの1プレイヤーでしかない自分が書けるのは、プレイヤー視点での歴史ぐらいのもの。そう――『メタゲーム変遷の歴史』に他ならないだろう。
 黎明期から遊び続けている1プレイヤーとして、発売後から今に至るまでのメタゲームを振り返ってみよう。


 というわけでWIXOSSメタゲーム変遷の記事、1年目です。1年ごとに区切って気が向いた時に書いていきます。




もくじ
『ファースト・ソリティアゲーム』――WX01【サーブドセレクター】~WX02【ステアードセレクター】
『黎明を超えて』――WX03【スプレッドセレクター】~WX04【インフェクテッドセレクター】
『無双竜機』――WX05【ビギニングセレクター】~WX06【フォーチュンセレクター】
メタゲームに登場したデッキ群



■ファースト・ソリティアゲーム■

『大体のTCGは、黎明期でアドバンテージを軽視しすぎる傾向にある』というのは、最早TCG史を語る上で外すことができない話題といえる。
 大親分にあたる最古のTCG『Magic: The Gathering』の黎明期には、気軽に追加ターンを得たり気軽に1:3交換ができたりするハイパーカード達がいた。ある意味で兄貴分ともいえるTCG『デュエルマスターズ』の黎明期、こちらでも簡単に爆発的リソースが稼げるカード群があった。

 WIXOSSにおいても、黎明期を支配したのは爆発的アドバンテージを生み出す1枚のカードだった。
 その名を《幻獣神 オサキ》。緑のスペルを撃つごとに追加で1枚のエナチャージ。今のカードデザインからすればあり得ないことだが、このエナチャージにはターン制限がない。10回撃てば10枚。100回撃てば100枚なのだ。

 しかも、実は黎明期のWIXOSSにはリフレッシュ回数の制限もなかった。

《幻獣神 オサキ》+《芽生》や《増援》による圧倒的なエナブースト。緑というカラーリング故の回収力。ブーストにより他の色が積みやすいための《THREE OUT》。そしてこれらの組み合わせで延々とライフクロスを増やしていく《修復》。トドメに、相手の抵抗を一切許さない《大器晩成》。
 WIXOSS黎明期の最強デッキは、まず間違いなくこの【オサキループ】であったといえる。

 その理不尽さは圧倒的なものだった。
 なにせ、当時は《修復》以外のデッキ外防御もなければ、0コストで相手の攻撃を止められるアーツだってない。他のルリグ達が頑張ってルリグデッキで防御をする中、緑子だけは《修復》で無限に防御ができたし、《大器晩成》で簡単に詰めができたのだ。おまけに《TOO BAD》によるハンデスまで重なればもう無敵。

 WX02にて今なお一線級の強さを誇る《先駆の大天使 アークゲイン》が登場してさえ、その牙城は崩れることがなかった。『全部のデッキに勝てる【オサキループ】と、緑子以外全部のデッキに勝てる【太陽タマ】』で、黎明期環境のほぼ9割が説明できていると言っても過言ではない。

 ひとまず【オサキループ】以外にも触れておくとすれば、上記の【太陽タマ】も外せない。
 先ほども言った通り、黎明期にはアーツ以外の防御手段がない。そんな中で登場した《先駆の大天使 アークゲイン》が(緑子を除く)他ルリグ達に強く出られたことは、言う必要すらないだろう。
《忘得ぬ幻想 ヴァルキリー》《祝福の女神 アテナ》《太陽の巫女 タマヨリヒメ》といったタマのカード群はリソースの供給とダメージの確保の面でも万全で、アニメの主役ルリグという点も相まって爆発的な人気を得たデッキタイプだった。
 緑子さえいなければ、確実に最強のルリグと言えるほどに。

 大会の上位ほぼ全てがゆっくりとタマ緑子に染まる中、【3止め花代】が、【ピルルクΩ】が密かに人気のデッキであったことにも触れておくべきか。

 リソースを使わないダメージソースがまだ少ない中、《轟砲 オルドナンス》によるコスパのいい除去が行えた【3止め花代】は、当時の人気デッキの一つだった。
 このデッキの流行の背景には、当時のWIXOSSのカード不足も影響している。

 第1弾・第2弾の頃のWIXOSSは、あまりにも需要と供給が釣り合っておらず、常に品薄・カードは高騰という状況が続いていた。《THREE OUT》の値段が4ケタする時代を想像できるだろうか? 《先駆の大天使 アークゲイン》は1枚で5000円を超える。まさにWIXOSSはバブル状態で、そのあまりの品薄から、一時は『公認大会で一部のカードのプロキシ使用が許可される』レベルだったのだ。
 そんな中で、3止めゆえに高価なカードがほぼなく、そしてバニッシュの連打で扱いやすかった【3止め花代】は一定の流行を見せることになった。

 ルリグ人気、そして低速ハンデスとコストの重い除去。【青単ピルルクΩ】は、アニメのファン、そしてコントロールの愛好家という一部の層に人気の高いデッキだった。
《幻水 シャークランス》《幻水 アライアル》がハンデス用の手札コストを稼ぎ、相手の動きを縛り上げた後は《コードハート V・A・C》+《BAD CONDITION》による面要求が相手を攻め立てる。

 2弾になると《幻水姫 カーミラ》が高パワーラインを形成するようになり、火力や殴り返しに対して強く出られるようにもなる。
 往年のコントロールデッキらしい堅実な動きは、どこの公認大会でも一定数見かけるものだった。

【3止め花代】に【青単ピルルクΩ】。この2つのデッキは、【オサキループ】【太陽タマ】に総合力で劣ってこそいたが、当時の環境を形作るデッキ群であったことは間違いない。



■黎明を超えて■

 そんな【オサキループ】の天下も、WX03の発売と共に終焉を迎える。

 カードゲームの黎明期を支配していたデッキがループデッキでは、流石に外聞が悪い。しかも、1人が延々と自ターンを続ける動きが何度も繰り返されるので、ゲーム自体がつまらなくなってしまう。
《幻獣神 オサキ》と《修復》、そして《THREE OUT》。これらの同時制限により、黎明期の王者は儚くなった。

 さて、そういうわけで緑子の隆盛も終焉を迎え――るほどに、緑子というルリグは甘くなかったのだ、残念ながら。
【オサキループ】の死後すぐに登場したのが、WX03で登場したある2枚のカードを投入した緑子デッキ。その名も【セイリュベイア】である。
 緑子のスターターに収録されていた《幻獣 セイリュ》は、高いパンチ力を代わりに効果の達成条件が難しい、扱いにくいシグニだった。しかし、リミット12で3面レベル4が達成できる《四型緑姫》とLv4のパンプ能力持ちである《幻獣 ベイア》は、このシグニの攻撃性能を十全に引き出すことに成功したのである。
 そのデッキには、もちろん緑子の防御の要である《修復》も搭載された。《先駆の大天使 アークゲイン》の攻撃を受けられるライフ回復、その《アークゲイン》に通りやすいランサーとアタック時バニッシュと高い性能を備えたこの【セイリュベイア】は、当然のように緑子を再びトップメタへと押し上げた。

 しかしながら、この時代を象徴するデッキは、緑子とタマだけではない。WX03。現代に続くワンショットの系譜の元祖とも言えるデッキが登場したのも、実はこの弾だ。

 そのデッキこそが【晩成爾改】。
 WX03で登場したSRシグニのサイクルの中に、《羅植 マリゴールド》というシグニがいた。このシグニは、緑のアーツをルリグトラッシュに置くという少し重いコストと引き換えに2エナを供給する能力を持つ。そしてもう1枚、《手弾 アヤボン》という、アーツがすっからかんになって初めてダブルクラッシュを得られる、不器用な能力を持ったシグニもいた。
【晩成爾改】はこのシグニ達を存分に悪用した。《チャージング》《羅植 マリゴールド》を合わせて膨大なエナを一発で稼ぎ、そのエナで《大器晩成》を撃ち、最後すっからかんになった相手を《手弾 アヤボン》によるダブルクラッシュが駆け抜ける。
 再三になるが、当時の環境に相手の攻撃を0エナで耐えられるアーツは存在していなかったのだ。【晩成爾改】は、LBを踏みさえしなければ4枚程度のライフを易々と奪い取り、そしてそのまま相手を葬り去った。

 ショットではない普通の【爾改】が環境にて強く意識されるようになったのも、3弾の中期以降の頃だ。
 その原動力は2つのギミックの追加によるものである。ひとつが《羅植 マリゴールド》または《幻獣 コマリス》と《羅植 カーノ》による高パワー相手への除去ギミックの獲得であり、もうひとつが《硝煙の気焔》と《羅石 アンモライト》による序盤からのハイパワーなパンチ力。
 デッキ回転力のための《THREE OUT》や《SEARCHER》を加えた青赤緑基盤の【爾改】は、これ以降も形を変えて環境デッキの一角を占めていくことになる。

《先駆の大天使 アークゲイン》への対応策も、変化を迎えていた。
 2弾の中盤までは《ホワイト・ホープ》程度しか《アークゲイン》を止められるアーツはなかった。しかし、2弾環境後半で登場した《アンシエント・サプライズ》が、そして3弾で登場した《デッド・スプラッシュ》と《全身全霊》が、とうとう全ルリグに対《アークゲイン》の防御手段を与えることとなったのである。

 この強化を一番上手に活用したのは、1弾から低速コントロールとしての地位を確立していた《コード ピルルク・Ω》系のデッキだ。
《アンシエント・サプライズ》から《コードアンチ アステカ》を蘇生する流れは《ホワイト・ホープ》級のコストパフォーマンスでの防御を成立させ、同時にこの《アンシエント・サプライズ》の全体火力が、ピルルクのハンデスによって弱体化せざるを得ない対戦相手の盤面に突き刺さる。
 青単だったデッキはタッチカラーを添えた【青黒ピルルクΩ】あるいは【青t黒ピルルクΩ】へと進化し、前環境より着実に強くなっていた。

 そして、4弾で《コードアート A・C・G》を手に入れたことにより、とうとうピルルクはメタの一角へ昇華した。
 相手シグニを凍結状態にしつつ、自身が生存している限りそれのリムーブを許さない。硬直した盤面を維持するのに最適なこのカードは、当時ハンデス+ルリグパンチがダメージの主体だったピルルクにとって完全にコンセプトと合致するカードであった。

 ただ、4弾は等しく、それまでのメタ格ルリグ達をも強化していた。

 この弾は実は、新ギミックである『エクシード』が登場した弾だ。紅蓮の名を冠する2種のルリグが登場し、その中でも特に《紅蓮の巫女 タマヨリヒメ》はそれまで《太陽の巫女 タマヨリヒメ》が主流だったタマの勢力図を一瞬で【紅蓮タマ】へと塗り替えた。
 出現時のアーツ回収により、後手でも防御6枚体制で戦える耐久性能。エクシードという当時は触ることすらできない領域のカードが、いきなり2アドバンテージを生み出す安定性の高さ。
 同時期に発売したDVD特典カード《モダン・バウンダリー》もタマの隆盛に一役買っていた。当時としては破格のコストパフォーマンスで除去と防御が両立できたこのアーツは、ここから長い間タマの必須パーツとしてルリグデッキに入り続ける。

 緑子が得たのは《三式豊潤娘 緑姫》という新たなコンセプト。2弾環境中期ごろから一部で密かな人気があった【3止め緑子】がここにきて環境入りすることとなった。
《幻獣 ミスザク》と《幻獣 ミャオ》というランサーシグニ達が決定力を担い、やはり詰めには《大器晩成》が待ち受ける。その姿は軽く、そして早くなった【セイリュベイア】のようであり、緑子は相変わらずトップメタに居座った。

 花代は《捲火重来》を獲得し、ラストターンの詰め性能を大きく上げることができるように変化する。《烈情の割裂》との組み合わせで相手のエナを2まで引き下げるパッケージは、時を超えて今の環境ですら見かけることができる花代の詰め手段のひとつだ。

 最後に4弾環境で忘れてはならないのが【ファフオーラ2止めタマ】であろう。
 2止めタマも、《アーク・オーラ》を早期タイミングで打ち出してルリグパンチで相手を詰めていくデッキとして1弾の頃から少数ながら見かけるデッキであった。それが大化けして地雷的なショットデッキへと生まれ変わったのは、4弾で登場した《ファフニール》、そして4弾発売1日前にDVDで登場した《一覇二鳥》のせいだ。
《ファフニール》によりカットインすらできなくなった軽量《アーク・オーラ》が、《一覇二鳥》によるダブルクラッシュとLv1でのガード不可を携えて合計4回のルリグアタックを通す。それが2回か、下手をすれば3回も飛んでくるのだ。アーツの種類が少ない当時の環境でこのショットを受けきれるデッキは非常に少なく、2止めタマはこの時代を代表するショットデッキとなった。

 こうして、黎明期のソリティアワントップという環境こそ終焉を告げ、未だにタマと緑子が一歩抜きんでてこそいれど多種多様なルリグが活躍するメタゲームへと、WIXOSSは着実に移り変わっていた。
 ピーキーながら今でも目にする【アルテマイオナ】や【アン】などが登場したのも4弾であり、環境は更に多様性を見せていくだろう。そんな期待が、この時期には確かにあった。

 ……4弾で新規登場したとあるルリグが、たったの半年後には再びソリティアワントップの環境を作り上げるなんて、誰も考えてはいなかった。



■無双竜機■

 2019年後半。現環境でもメタ格に位置するとあるルリグが、WIXOSSが始まってから1年足らずの5弾の段階で既に収録されていると言われても、あまり信じることはできないだろう。
 しかし、間違いなくそのカードが――《創世の巫女 マユ》が収録されたのは、この弾の出来事だった。

 その効果は破格の一言。
 同時発売した他のLv5ルリグ達が3エナのグロウコストを必要とする中、この《創世》のグロウコストはなんと0。代わりにグロウ時にルリグデッキからタマかイオナのルリグ1枚をルリグの下に置く必要がある(アーツ枠を余分に1枚使う必要がある)のだが、なんと出現時効果で白と黒のアーツを全部回収してしまうので、実質アーツ枚数は6枚。
 弱点が弱点にもならぬ脅威の性能を持っている上に、このルリグには『エクストラターン』という唯一無二の効果があった。

《無双竜機ボルバルザーク》というカードをご存知だろうか?
 兄貴分にあたるデュエルマスターズにおいて、『とある公式大会の上位16名が全員ボルバルザーク系のデッキを使っていた』という逸話さえ生み出した、非常に有名な1枚だ。
 このカードは、『出した時点でエクストラターンを取り、そのエクストラターンの終了時にゲームに負ける』という効果でもって、デュエルマスターズのメタゲームを当時ボルバルザーク一色に染め上げたのである。

《創世の巫女 マユ》の効果は、正に《ボルバルザーク》を彷彿とさせるものだった。エクシード5、つまりエクシードのほぼ全てを吐き切って効果を使う。
 効果使用時、手札とエナを全てトラッシュに送る。つまり、このエクストラターンを止め切られたら、その後はすっからかんのリソースで戦うしかない。そうして、組み上げられた場で、2ターンの突貫が行われるのだ。

 5弾環境を言い表すならば、それは正に『マユが作り出す環境』であったといえる。
 まず名乗りを上げたのは相も変わらずタマだ。《先駆の大天使 アークゲイン》によって耐性を得た3面天使は、合わせて2ターンの突貫でいともたやすく敵の防御手段を乗り越えて行った。
 ただでさえ環境トップの一角だったタマは、マユの力を得ることで当然のようにこの環境を暴れ回ったのだ。

 その【タママユ】を止めたデッキ――これも、マユだった。ただ、その下敷きはタマではない。マユに付いているもうひとつのルリグタイプからグロウする、【イオナマユ】である。

【イオナマユ】というデッキについて話す前に、当時のイオナというルリグについて話しておこう。
 発売当初、イオナはかなり不遇のルリグだった。スターターデッキが2014年の9月に発売してからWX04が発売するまでリミット2のレベル1ルリグさえ貰えていない有様で、強化弾が来ても黒ルリグだけウリス・ウムル・イオナと種類が多いせいで強化が上手く分配されない。
 初のレベル5ルリグとなる《アルテマ/メイデン イオナ》を獲得しこそすれ、その性能は先述通りピーキーの一言。ハマった時こそ強力ながら扱いが難しい、そんな立ち位置のルリグがイオナだった。

 そのイオナは、《アンシエント・サプライズ》や《デッド・スプラッシュ》を最も手数多く使用できるルリグとして、また《フル/メイデン イオナ》から《創世の巫女マユ》まで延々と相手の《先駆の大天使 アークゲイン》を処理できるルリグとして、【タママユ】に対して強く出られるという強力な立ち位置を得ることに成功した。
《コードアンシエンツ ネクロノミコ》と《コードアンチ デリー》が揃えばトラッシュから好きなカードを拾うことができ、詰めには《コードラビリンス ルーブル》が3面並んで相手の《アンシエント・サプライズ》や《デッド・スプラッシュ》からの多面防御を許さない。黒シグニには当時としては優秀な点要求シグニがそこそこおり、火力の通りも申し分ない。

【タママユ】は相手に向かって突貫するのであれば《アークゲイン》により強力な攻撃を敷けるデッキであったが、逆に相手の《マユ》が《アークゲイン》を葬りながら特攻してくる際には守りがどうしても薄くなるデッキだったのだ。
【タママユ】が【イオナマユ】を突破するためには《アーク・オーラ》を積んで強引に空中戦の突破を狙うぐらいしかない、という程度には、当時【イオナマユ】は【タママユ】に対して優位を取っていたといえる。

 こうして、【タママユ】をメタる【イオナマユ】という構図が完成し、【イオナマユ】なら《アークゲイン》もいないし……と別のルリグも使われ始めて、というのが、5弾環境の流れであったと記憶している。

【3止め緑子】が増えたことも影響して下火になっていた【セイリュベイア】が息を吹き返して再び上位に入るようになったのも、ちょうど5弾の頃だっただろうか。
 緑子に新規カードが増えたわけではない(緑子もLv5ルリグを手に入れることでルリグに選択肢が産まれたことは間違いないが、他と比べて目立った強化を得たわけではなかった)。ただ、緑子の研究が進むにつれて、単純に《幻獣 セイリュ》で突貫するよりも《羅植姫 ゴーシュ・アグネス》と《修復》を使った耐久プランから攻めの機会をじっくりと伺った方が強力であると、次第に明らかになっていっただけだ。

 2弾の頃ほどのソリティア能力こそないが、エナを膨大に伸ばしながら《修復》での耐久を狙い出した緑子は、正に黎明期の【オサキループ】を彷彿とさせた。新規の強化ではなく、プレイヤー達の努力によって、Lv4まで登る緑子は再び環境に返り咲いたのだ。


 5弾から6弾に移る前、カードゲーマーに収録された《レインボー・アート》が青赤緑軸の【爾改】を強化したという出来事も覚えておきたい。
 エナと手札の変換を行いつつついでにバニッシュまで行えるこのカードは、当時の【爾改】にこぞって投入される強力なアーツとなった。個人の思い出としても、初のWIXOSS PARTY SPECIAL優勝の原動力となったカードであり、非常に思い出深い1枚だ。
 続く6弾にて《コードアート T・A・P》《羅石 キュア》《羅植 カヤッパ》《コードアンチ ドロンジョ》といった下級の強力シグニが登場し、また《TRICK OR TREAT》という青以外にも使いやすいリソース搾取スペルも使用できるようになったことで、【爾改】はアグロデッキとしての地位を確固たるものとしていった。

 6弾、新ルリグであるタウィルが登場したこの弾で、真っ先に目を付けられたのは《三つ首の連打 ケルベルン》だった。
 当時破格のノーコスト下級バニッシュであるこのシグニは、黒ルリグの可能性を大きく広げた。元々《マユ》に乗るまでは黒ルリグである【イオナマユ】にその姿が見られるようになると同時に、《グレイブ・ガット》が来ても未だ少しもの足りなかった【紅蓮ウリス】において、下を支えるカードとして活躍し始めたのだ。
 ハンドレスからでも巻き返せるコントロール泣かせの性能、蘇生を多用する対【タママユ】性能、そして《紅蓮の閻魔 ウリス》のスペックを生かしたロングゲームを戦い抜く能力。【紅蓮ウリス】は間違いなく、この弾で強力なルリグへと昇華した。

 そして、単純なハンドレス戦法では勝てない相手が増えたピルルクも、6弾にてとうとう新たなコンセプトを獲得した。《幻水 シロナクジ》を利用した【水獣ピルルクACRO】である。
《コード・ピルルク ACRO》のリミット12と手札供給効果・フルハンデス効果を併用しつつ、《幻水 シロナクジ》2枚と《幻水姫 スパイラル・カーミラ》を合わせて使うことでパワー14000のシグニが3面並ぶ。《幻水 シロナクジ》は自身のパワーを減少させることにより他の水獣クラスのシグニを守る能力を持っているので、こうなると容易には突破できない大きな壁が出来上がる。
 簡単には除去されない壁を3つ張って相手の要求を強引に止める。それは一種のロック状態に近く、1ターンに除去を複数撃つことができない様々なデッキはこの壁の前に敗れることとなった。

【タママユ】【イオナマユ】【セイリュベイア】【3止め緑子】【爾改】【紅蓮ウリス】【水獣ピルルクACRO】。前環境に存在した【ファフオーラ2止めタマ】も地雷デッキとして数に加えると、環境デッキの数はかなり増えたと言える。
 WIXOSSの1年目は、ループデッキが環境を支配するという衝撃的なスタートを迎えつつも、最後は様々なルリグが活躍の機会を残す綺麗な形で終わることになる。

 7弾が発売する少し前には、繭の部屋、いわゆるカード制限が施行される。《先駆の大天使 アークゲイン》や《忘得ぬ幻想 ヴァルキリー》、そして《修復》が2枚制限。タマは《弩砲 ヘッケラ》《轟砲 コック》を使用した火力多めの【リペアタママユ】へと型が移行し、緑子は《羅植 ラフレレ》を利用した【植物緑子】が主流へと移っていく。
 環境で長らく頭一つ抜けていたルリグに規制が入る様は、確かに環境が整備されているという実感をもたらした。

 ――けれど、7弾が発売された後。『あいつ』はとうとう覚醒してしまったのだ。
 第二のソリティア時代の幕開けを飾った、あの青いルリグは。

(2/5に続く)


■メタゲームに登場したデッキ群■

WX01~WX02
【オサキループ】
【太陽タマ】
【ピルルクΩ】
【3止め花代】
【爾改】

WX03~WX04
【セイリュベイア】
【3止め緑子】
【紅蓮タマ】
【ファフオーラ2止めタマ】
【晩成爾改】
【爾改】
【青黒ピルルクΩ】

WX05~WX06
【タママユ】
【イオナマユ】
【セイリュベイア】
【3止め緑子】
【青赤緑爾改】
【紅蓮ウリス】
【水獣ピルルクACRO】
【ファフオーラ2止めタマ】
(規制施行後)
【リペアタママユ】
【植物緑子】
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非公開コメント

懐かしい記事で非常に楽しく読ませていただきました
当時の環境デッキだと他にもゼノマル緑子やルールを変更させたピックアップループとかもありましたね

>名無しさん
コメントありがとうございます。
ゼノマル緑子は基本的に《幻獣神 オサキ》の膨大なエナチャージから色を構えて撃つ【オサキループ】の系譜のデッキと判断したため、ピックループは発売後たしか2日か3日程度で使用不可になったデッキをメタゲームに登場したデッキとしていいものか怪しかったため、記載をしていません。
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Author:テラタカ
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