FC2ブログ

第8回らいだぁ杯・決勝カバレージ

「久しぶり」

 筆者がカバレージ卓に行くと、今回オールスター枠を担当しているウルシハ選手がそう声を掛けてきた。
 よく考えれば、これで彼の試合をカバレージに収めるのは4回目となる。前回書いたのは第4回、master選手vsウルシハ選手のカバレージを書いた時だから――そうか、確かに1年半といえば『久しぶり』だ。

 久しぶりと言えど、既に何度も書かれている立場。カバレージを書かれることに緊張はしないのだろうか。
 ツイッターでアンケートを取ってみたところ、およそ30人ものウルシハ選手のうち半数以上が「未だに緊張する」と回答してくれていた。


 いや30人て

 彼は、前回優勝した『シロネコ選手、しみずき選手、ウルシハ選手』という3人チームそのままで今回の大会に参加している。
 前回王者として『彼らのチームの誰かに勝つたびに500円分のティム商品券』という企画が発動し、予選段階から通常以上の殺意をぶつけられてきた彼ら。しかし、この決勝卓に座って二連覇を目指している。その事実が、チームの総合力の高さを物語っている。

 筆者とウルシハ選手は何度もカバレージを取っている関係で面識がかなりある一方、対面に座るミヤモト選手は初のらいだぁ杯決勝だ。
 それもそのはず、そもそも彼は関西の選手である。今回らいだぁ杯→WIXOSS TAG TEAM GXという3連休連続での大型大会が開催されるにあたり、遠く離れた地から足を運んでくれた重鎮プレイヤーなのだ。

「横に誰もいなくて寂しい」

 らいだぁ杯決勝戦の伝統として、決勝進出チームは1対戦卓につき1つずつのテーブルで試合が行われる。
 なんだか心細そうにさりげなくぼやくミヤモト選手であるが、その実力を疑う余地はない。
 関東でその名を目にすることこそ少ないが、こと中部から関西にかけてでは大型大会で10回を超える優勝経験がある。
 世界大会にも出場しているプレイヤーで、この日も未だ黒星1つ。予選中には彼の使用デッキにとって『無理対面』と言われることが多いアルテマイオナに対して金星を挙げるなど、プレイングに関しても文句の付け所がない。
 チーム名が『ファンタスティックみやもと3』であることからも、今回の彼のチームが彼を中心に構成されていることが見て取れるだろう。

 "関東のモンスタープレイヤーvs関西の重鎮プレイヤー"。世界大会でもよく好カードとして登場する東西対決が、このらいだぁ杯決勝で始まった。




 先行1t目、サシェをオープンして《カプスワン》を2枚出すだけで終わったミヤモト選手に、早速ウルシハ選手は仕掛ける。
 ナナシのルリグデッキから自身の名を冠する《ナナシ 鍵ノ型》がアンロックされ、デッキの上から《マイプラ》と《ノロウス》2枚が登場。ウルシハ選手が《ノロウス》1枚をエナ、残りを手札に加えると、もうナナシは《ポレン》+《マイプラ》で相手の《カプスワン》1面を焼却し出した。
 ナナシの強み、《マイプラ》による序盤の圧倒的なダメージレースでの優位性が早速生かされた形だ。

 これで早速ライフを2点削られてしまったミヤモト選手。だが、これはオールスターレギュレーション。
 試合の展開はキーセレクションより苛烈で、勝負の流れはどんどん変わっていく。

 ミヤモト選手はLv2《カルティエ》にグロウして《カプスワン》を蘇生する。この《カプスワン》で《ツクスペ》をサーチし、《ツクスペ》を出して捻り、ダウン状態の《ツクスペ》《カプスワン》を使い《マーズ》をレゾナ、リクルート対象は《マルカブ》。
 白ルリグらしいサーチの連打と、レゾナシグニらしい高パワーラインの連打。最後に《スター・フェスティバル》で更なる《マルカブ》を展開すれば、ウルシハ選手の盤面はあっという間にすっからかん。

 ここのシグニアタックをウルシハ選手は全て通し、ライフは一気に4vs5のハイテンポな展開となった。

 ウルシハ選手は次ターン、《マイプラ》《RS》《ポレン》と堅実に3面立てるだけでアタックに入り、そのアタックフェイズに《マイプラ》効果で相手の場に残った《カプスワン》をバニッシュした。
《RS》でウイルスの数はしっかり維持されてたまま、-4000だけがノーリスクで加えられた形となる。このターンの点も通り、ライフは4vs4で互角の数となった。

 今回はナナシを使用するウルシハ選手だが、彼はルリグに拘る男ではない。この大会の数日後、ナナシを使った理由について「オールスターで一番強いルリグを使った」と話している。
 そんな彼は、きっとこれも『一番強かった』のだろう、過去にサシェを使用して大型大会に何度も出場していた。
 過去に使ったことがあるルリグだからこそ、その長所も弱点も全て理解しているはずだ。彼は《鍵の型》のエナチャージをどうするか、《マルカブ》を殴るか否か、全て短時間の間に思考して決めていた。

 だが、この強豪ひしめくらいだぁ杯を黒星1つで駆けあがってきたミヤモト選手のサシェも伊達ではない。そうであるはずがない。

《マーズ》をエナチャージしてルリグデッキに戻した彼は、ウルシハ選手が過去使っていた型には入っていない、《ミモザ》を場へと送り出す。
 ことリソースを搾取してくる相手に対しては、リソースを増やせるカードはあればあるだけ有効に働く。《ミモザ》で《カプスワン》をサーチすると《マーズ》から《リンゼ》を出し、更に《マルカブ》→《スター・フェスティバル》→《リンゼ》。
 スペル軸への対処法として、相手が動き出せる前の《リンゼ》より有効なカードはない。《鍵の型》の蘇生効果でウルシハ選手は地上を守るが、ルリグパンチは通る。最後に《リンゼ》2枚の手札交換効果まで発動し、ミヤモト選手は相手のスペルを封殺した状態で手札を5枚まで伸ばした。

 スペルを封じられたウルシハ選手は、このターン大きな動きができない。とはいえ、ナナシが強いのは単純にシグニのカードパワーが高いという点にもある。
 彼は落ち着いた様子で《其ノ参ノ別》へグロウすると、効果で1つだったウイルスを3つに増やす。そして、リンゼの交換効果の影響で薄くなったミヤモト選手の山札を確認した上で《ノロウス》と《RS》を場に出し、2体の効果で相手の盤面のリンゼを焼き切った。
 ついでに、新弾でナナシを著しく強化した《黒鍵の巫女 タマヨリヒメ》もその姿を現す。

 このターンの攻撃は《ナンバー・バインド》で全て止まるが、《RS》効果ですぐリフレッシュが起きてしまうミヤモト選手。ルリグパンチも含め、これでライフはサシェが2枚のナナシが3枚。

 ナナシの、3枚というライフが絶妙だった。ライフ3という数は、《其ノ四ノ獄》のコイン使用効果と合わせれば《ジ・アース》の突貫が1t確実に停止する数だ。
 それでも、《RS》からの妨害が飛んでくることを見越すと、ミヤモト選手はリソースの確保にも気を使わねばならない。

《マーズ》を再びルリグデッキに戻したミヤモト選手は、《ルクパト》を使って《マイプラ》への耐性を得た《マーズ》を作り、相手への要求値を一旦上げてみる。《マーズ》で《ミモザ》をリクルートし、この《ミモザ》でリソース獲得を行う。
 そして《快抱》の効果で《マイプラ》を、《マルカブ》で《RS》をバウンスしたら、最後に《ビカム・ユー》を使用した。
《ビカム・ユー》を吐くタイミングは、ここしかない。自ターンにアーツを撃っても問題ない、ここしか。

 2面要求。2面要求という数字は、ウルシハ選手にとって朗報だった。
 3面要求だと、少し話は違ったかもしれない。けれど、《クトゥル・アビス》たった1枚だけでライフを3のまま確実に保てるこの状況は、願ってもないことだ。
 本来ならサーバントがエナに必要なこのアーツも、《黒鍵》の効果さえあれば色拘束を気にせず発射できる。

 彼の考える『生存ライン』のライフ3を守り切ったウルシハ選手は、満を持してLv4へとグロウする。
 黒点キーを得たスペル主軸のナナシの動きは圧巻の一言だ。
《バッド・メディスン》が《ノロウス》と《マイプラ》を回収する。《ラブリー・バイオ》と《ハショフ》でウイルスが3面に設置され、《ノロウス》が今減ったリソースを稼ぎなおす。更なる《ラブリー・バイオ》が、ノロウスの取り除いたウイルスを再び置きなおす。
 スペル軸ならではのソリティアはすぐには止まらない。スペル軸は、序盤にシグニが並びにくい・カットインの恐怖に晒されるという弱点と引き換えに、ドローとエナチャージで自分が作りたい盤面へこれでもかと寄せていくことができる。
《其ノ四ノ獄》の効果でウイルスを1つ剥がしリソースを更に伸ばし、三度の《ラブリー・バイオ》。これで、ウルシハ選手は「エナがちょうど6枚」という、ミヤモト選手にとって明らかに"不気味な"量へと自分のエナを届かせた。
 最後に《マイプラ》を盤面に2枚並べ、《ジ・アース》が出てきても場が崩壊しない状況まで組み上げる。そのターンの攻撃はもちろん《快抱》のコイン4枚に守られてしまうが、そんなことは織り込み済み、ウルシハ選手は全く動じることなくターンを終えた。

 ミヤモト選手に残されたターンは、実はもう多くない。
《其ノ四ノ獄》の効果を見れば分かることで、ナナシは『感染状態のシグニゾーンに新しくシグニを配置させない』という行動制限効果を持っている。そして基本的には、《サシェ・リュンヌ》が持っている防御手段は『《ジ・アース》の自身が出る効果』『《リュンヌ》のレゾナ条件無視場出し効果』の2つに限られる。
 そう――攻撃手段の一切を封殺してサシェを倒し切るプランを、ナナシは既に獲得しているのだ。

 しかし、ウルシハ選手が気を抜けば、《ジ・アース》は容易に点数を刈り取る手段を持っている。後は、ウルシハ選手が守り抜いたライフを、あと1、2ターンの間にミヤモト選手が貫けるか否かだ。
 ミヤモト選手は勝ち筋を脳内のバリエーションから漁っていく。相手に一番威圧を与える盤面は何だろうか。差し当たり――まず必要なものは、《ジ・アース》の強化と見たようだ。

《ルクパト》《ピクター》を展開したミヤモト選手は、その2体を素材に巻き込みながら《ジ・アース》を場に出す。更に《ミルキィウェイ》でこの《ジ・アース》にアーツ耐性まで付与し、考えうる限り最強の《ジ・アース》を作り上げた。
《ルクパト》や《ピクター》の効果は次の自ターンまで続く。この《ジ・アース》さえいれば、とりあえず次の相手ターンに即死する危険はかなり減るだろう。

 更に決定力を上げるべく、彼は《マーズ》から《マルカブ》、エクシード1で《マーズ》を回収、再度の《マーズ》から《ノーザンセブン》までを順番に呼び込んだ。
 ただ、相手をリフレッシュに持ち込めるだけの展開には、どうしても足りなさそうだ。いや、リフレッシュまでは行けた可能性はあるが、リフレッシュと《ノーザンセブン》の両立まで手札が届かなかったのだろう。
 それができないなら、リフレッシュをしても《黒鍵》の除去が待っている。ミヤモト選手は、彼の乗りこなすデッキがどれだけのスピードを叩き出せるのかをしっかり理解している。

 完全な場を作り切ることに意識を向けすぎて、うだうだ狙って変な所で止まってはいけない。自分ができる中で最善の動きをする。それを分かっているプレイヤーと分かっていないプレイヤーで、勝率に確実に差が付く。
 時間を掛けるべきタイミングでしっかり時間をかけ、勝ちへの道を探るミヤモト選手は、間違いなく前者である。

 最後に彼が選んだ選択肢は、《マーズ》を《スター・フェスティバル》でどかし、そこに《リンゼ》を立ててバニッシュ耐性3面で殴り込みをかけることだった。
 付与されるダブルクラッシュとアサシン。更にはバニッシュ耐性を得た《リンゼ》がウルシハ選手の次ターンを縛ってやろうと敵意を迸らせている。

 そんな盤面を前にして。
 耐性持ちのパワー15000シグニが2体、そちらに気を取られたらスペルによる回転を停止させる、こんな無言の圧力を前にしても、モンスターは怯まなかった。
 ただ淡々と、《其ノ四ノ獄》のコイン効果で《ノーザンセブン》をトラッシュに放り込むだけで、ウルシハ選手は防御の選択を終了させるのみ。

 そしてターンを奪い取った彼は、場に残り続ける《ジ・アース》などおかまいなしに、シグニだけで場を構築する。
《RS》が、《其ノ四ノ獄》が、淡々とサシェの行動手段を奪い取る。下手なことをする必要はなかった。ただ《ジ・アース》を放っておいて2面要求するだけで、サシェの命を守るライフクロスは、0まで削り取られる。

 これを見ては、もう打つ手がないことを悟ったのだろう。
 チームメイトが2人とも敗北した、という周囲からの言葉を聞き、最後にミヤモト選手は尋ねた。

「《炎のタマ》あります?」

 6エナをばっちり構えてターンを返された時に、彼も可能性を感じ取ってはいたのだろう。
 ウルシハ選手が静かにルリグデッキの《炎のタマ》を公開するのを見て、ミヤモト選手は悔しそうにデッキを畳んだ。


○ウルシハ選手
●ミヤモト選手


 『シロネコ・しみずき・ウルシハ』チーム、らいだぁ杯2連覇達成!
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント

プロフィール

テラタカ

Author:テラタカ
ブログIDはclustertypeTにするつもりがタイプミスしました

WIXOSSめいんのかーどげーむぷれーやー
他の趣味としては長期人狼もやってます
基本はでっきおきばれぽおきば

各記事引用ふりー(とか書かなくても勝手に皆引用するか)

twitter:@terratakk
人狼BBS:terratakk

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR