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WIXOSS/メタゲームの変遷 5年目

 近代へようこそ。




もくじ
無限催促――WXKP01【クラクション】~WXKP02【フルスクラッチ】
夢限催促――WXKP03【ユートピア】~WXKP04【ワイルズ】
無限発展――WXKP05【レトリック】
メタゲームに新規で登場したデッキ群



■無限催促■

 世界はキーセレクション時代へと移り変わった。メインデッキのカードパワーが低めに抑えられ、その一方でLv4ルリグのグロウコストが基本0になる、強力なキーや準限定アーツが戦略を多様化させるなど、ルリグデッキ方面は著しい強化を受けて行く。
 ただ、時折メインデッキのカードにも影響を与えるものは存在する。特にWXK1弾は、キーレギュレーション用ブースターパックとしては、最もメインデッキに入ったカードが多いブースターと言えるだろう。

 これまでのメルは、ロストレージ組としては唯一上手くトップメタに入り込めない、"やるせない"ルリグタイプだった。
《メル=スピリタス》はコインが続く限り3面防御を繰り返す絶大な耐久性能を持ったルリグだったが、その防御手段があまりにも《コードイート キャビアラ》《コードイート トンカツ》に頼り切りだった。急激なリソース搾取や盤面が固まった状態でのアサシン、シグニ耐性といった諸々の抜け道に対して明確な回答を持てないルリグだったのだ。
 K1弾で登場した《幻怪姫 ユニカーン》がその問題を解決した。
 メルに自然と採用される《コードイート トンカツ》は、シグニ自体にバニッシュ効果を付与できるアクセだ。つまり、一角獣が豚カツを食べれば、相手のシグニを殴ってバニッシュするまでもなくアーツが1枚回収できる。
 汎用性の高い防御である《水天一碧》や《金剛不壊》、《暴風警報》といったカード達は、何度も回収されてメルに足りていなかった防御を補う。こうしてメルは【ユニカーンメル】というアーキタイプを獲得し、苦節一年半、ロストレージ組としては最後となるメタゲーム入りを果たすことになる。

 流行こそしていなかったが、《幻怪姫 ユニカーン》+《コードイート トンカツ》は無限にアーツを回収できるギミックであり、その防御は緑子などでも使われることになる。
 キーセレクションのメインデッキ用カードは確かにカードパワーこそ低いものが多いが、シナジーを利用すればオールスターフォーマットでも十分に活躍できたのだ。

【ミミック入りエルドラ】も、そのシナジーを十分以上に発揮したデッキだった。
 エルドラはデッキトップのカードを《幻水 シィラ》《幻水 ヒナニギス》などで容易にライフに仕込めたが、《幻水 グレホザメ》などで不意に埋めたいカードを手札に引いてしまうと、それをライフに埋めに行くのに少し手間取ることが多かった。《超罠 ミミック》は、あまりにも容易にその問題を解消してみせたのだ。
 キーセレクション環境初期において多用された《超罠 ミミック》+盾埋めの防御機構が、オールスターの強LBと回数制限のないライフ回復によって昇華された結果である。

 攻撃面の強化を与えたのは《魔海の海蛇 レヴィアタン》だ。
 出現時に手札を捨て、ターン終了時に手札を1枚引く。たったそれだけの陳腐な効果が、しかし【ミルルン・モル】や【腹筋ピルルク】にとっては絶大な影響力を持っていたのである。
 これらのソリティアデッキは毎ターンデッキを全力でブン回し、その回転力が高いほど相手に対しての妨害能力が高くできる。山札の尺が長ければ長いほどに強く動けるわけだ。

 自ターンには1回までしかリフに入れず、一度リフを入れたら山札を1枚は残しておかなければいかない。そしてそこから次のターンに入ると、ドローだけで1回のリフレッシュが発生して山札の尺が短くなる。
《魔海の海蛇 レヴィアタン》は、自分の攻撃が全て終了してから山札の最後の1枚を引くことによって、これらのソリティアデッキ達に毎ターンぎりぎりまでデッキを回すことを許可した。
 ただのLv1コモンシグニが与えた影響は絶大であり、【ミルルン・モル】は全盛期ミルルンに勝るとも劣らない環境への影響力を持つこととなった。

 アーツの無限回収、《音階の右律 トオン》による無限防御の補佐、何度でもできる2リフレッシュ――。シナジーを悪用して生み出されたギミックは、どれもこれも無限機構を強化していった。
 カードパワーが低くなっても、プレイヤー達の探求は留まるところを知らなかった。

 メインデッキの単なるシグニ1枚がオールスターのデッキを強化する一方で、ルリグでもキーでもない、地味なアーツ1枚が新たなコンセプトを登場させたというのも、重要な出来事だろう。
《ファントム・ガーデン》は、明らかにスターターデッキの数合わせのアーツだった。K1弾と同時発売の3種類のスターターデッキ全てに何げなく投入された、強化版の《サルベージ》。間違いなくそのはずだったし、開発陣も『環境理解が進んだら、こういうカードは抜かれていく』という気持ちで収録していたであろう。

 そんなカードが――まさか、《羅石 イモイシ》《羅石 サンスト》《羅輝石 キンシャチ》という石のシグニ達と組み合わせられて新たなアーキタイプを作り出すとは、誰も想像しなかったはずだ。
《ファントム・ガーデン》《共存共栄》《雪月風火 花代・肆》。急速で溜められたリソースが《羅石 イモイシ》で更に伸ばされ、最後には《羅石 サンスト》によるライフクラッシュからの《西部の銃声》発砲。
 その銃殺を乗り越えてさえ、《羅輝石 マラカイト》によるアタックというセカンドプランが待ち構えているのだ。銃殺に失敗すれば潔くお縄を頂戴した【2止め遊月】に比べ、このデッキは最後の最後まで勝つためにもがけるデッキであった。
 これまでの銃殺デッキとは一線を画す【銃殺雪月】は、そうやって仕事人のように他ルリグ達を葬るようになった。

 さて。
 無限防御に、永遠2リフに、ワンショット。せっかくのキーセレクションなのに全然新デッキにキーが絡んでいなくて、これじゃあ嘘だ。
 キーが絡んで強いデッキは存在しなかったのか? という話もしておこう。

 K1弾の時点では、一応1つ存在した。

 オールスターには、《MIRROR》というエクシード1を回復し続けるスペルがある。
 過去には《コード・ピルルク Λ》でリソースを伸ばすために使われたこのカードは、《コード・ピルルク KEY》と組み合わせられることによって新たなギミックとして帰ってきた。
 1ターンに1度、1エナで手札が2枚増えて相手に手札を1枚捨てさせる。規制された《RAINY》を彷彿とさせる動きが、キーの採用が容易かつハンデスを決めきれないあやにて採用されることで、【ピルキーあや】が誕生した。
《とどめはあーや! Ⅴ》のバウンス、《羅星姫 ≡コスモウス≡》の3枚ハンデス、《TRICK OR TREAT》の2枚ハンデス。最大でも試合中に時折そのぐらいのハンデスを決めるだけだったあやは、フルハンデスパッケージ・0リソースでの防御カード・いつでもリソースを1つ伸ばす手段と欲しかった要素を一気に得て、大きく強化されたと言える。

 K2弾になると、キーやルリグによる環境への影響は更に大きくなる。

 2019年のオールスター環境で対策困難なデッキとして活躍を見せる【ダッシュタマ】の原型が誕生したのはこの弾だ。
《アイヤイ★ディール》《落華流粋》によって強化された《禁忌の焔 ≡プロメウス≡》が《先駆の大天使 アークゲイン》と共に突撃。イノセンスによって相手のキーが付与していたはずのルリグ防御が消えているので、天使盤面を処理する方法がない所に5~6点からのショットが一気に突き刺さる。
 イノセンスによってキーによる防御手段を奪いつつ、逆に自分はキーの力を使いこなしてショットする。新世代のショットデッキはここで産まれ落ち、そしてここより弾を重ねるごとに《焔型闘娘 花代&緑子》《セレクト・ハッピー5》とどんどん強化されていくことになる。

 キーがデッキコンセプトの根幹を成す。要するにそのキー自体を張り続けていることによってコンセプトが成り立つデッキとして、【アンキー散華ウリス】も登場した。
 できるだけ性能の高いルリグを使用し、各色の強い汎用シグニを大量に採用して、それを《友好の遊行 アン》のマルチエナ化効果によって強引にまとめ上げる。カーニバルによって証明されたグッドスタッフの理論を、ルリグを入れ替えつつ下級でも強いシグニを採用することによって、別方面へと進化させたのがこのアーキタイプだった。

【アトミックアロス】も、《一途の巫女 ユキ》を上手く利用することによって組み上げられたデッキである。
《一途の巫女 ユキ》のサーチ能力を活用することで下級シグニの枚数を極端に減らし、デッキ内のシグニをどれもこれもカードパワーの高い上級シグニにする。すると《羅原 Zr》が綺麗に噛み合い、防御回数を増やしつつデッキに強力なカードだけが戻っていく。
 手札を減らさずにアタッカーになれる《羅原 アルミ》の採用ができるため、攻撃をする際にも躊躇しにくくなる。
 これまでは《バニラ・スクランブル》のようにアーツを1枠割かなければできなかったそういうデッキ構築が、中盤以降の防御と1ターン目のサーチを両立する《一途の巫女 ユキ》により問題なく行えるようになったのだ。

【Lv6タマ】が姿を現したことも忘れてはならない。
《時英の埋設 #タイプス#》を使うことによってグロウコスト0のLv4タマ→《真名の巫女 マユ》→再びLv4タマとグロウするこのタマは、試合が終わるまでにで10枚分の下敷きと6枚分のルリグデッキ枠、そして最大8枚分のコインを使用することができた。
《極盾 アークイギス》《極盾 アイアース》《中盾 ティンベー》《先駆の大天使 アークゲイン》。単純な防御の厚さに加えて耐性持ちシグニまで持っていたこのルリグは、《生々流転》によるライフバースト埋め、エクシードキーによる高い能力まで込みで、当時最大の有限防御数を保有していたと言える。

 エクシードを持たないルリグがエクシードキーを、エクシードを持つルリグが非エクシードキーを。
 キーを上手く使うルリグが少しずつ増えて行く中、キー以外の場所でひとつ大きな変化があったことを忘れてはならない。

 それが《ビカム・ユー》の登場だ。
 上記の【ダッシュタマ】にも採用されているこのカードは、相手に先んじてショットが行えるその性質から、あらゆる高速デッキにとって強力な選択肢となる。
 単純に止め系が採用する、【リワト】のようなマウント系のルリグがとっとと動いてしまう、【銃殺雪月】が無慈悲に銃殺を決める。様々なショットが開拓された。

【燐廻グズ子】は強力な新アーキタイプのショットデッキとして挙げることができるだろう。
《応援の駄姫 グズ子》のダイレクトと《燐廻転生》が組み合わさることにより、一発で9枚分のクラッシュが発生する。相手のライフ総数が6枚以下であればその時点でゲームエンド。
 他のショットと遜色ない破壊力を持つこのショットだが、『ルリグとアーツたった1枚ずつ』で完成してしまうというのも驚異的な点だ。
 遊具軸でエナを溜めて《因果応報》まで撃つ、そのままLv5へとグロウして【悲願グズ子】として戦うなど、いくらでもセカンドプランに派生が作れたのも、このアーキタイプの強みだった。



■夢限催促■

 オールスターで無限防御が流行する中で《夢限》が登場するという激下手ギャグで始まった最新弾環境だが、その環境で新たに登場したアーキタイプがまたもや無限防御系のデッキだと、流石に食傷気味になってしまいそうだ。

 しかしそれでも、このデッキは紹介しなくてはならない。基本はフェアデッキだったはずなのにいつの間にかアンフェアなコンセプトを獲得してしまった【W5カーニバル】というデッキを。
 このデッキは、またしても《音階の右旋 トオン》を埋めるデッキだった。《超罠 ミミック》や 《師の遊姫 ヤリホー》でデッキトップに《音階の右律 トオン》を置き、《羅星 テンドウ》で埋めることによって、デッキが続く限りの防御を成立させる。
 その上で、リフレッシュやパーツ切れによって防御が途切れることがないように、このデッキは《応諾の鍵主 ウムル》+《羅原 Zr》のパッケージを採用したのだ。
《カーニバル ‐MAIS‐》の効果で相手のシグニが毎ターン《サーバント ZERO》になるため、《応諾の鍵主 ウムル》のエクシード2はほぼ確実に2面防御になる。9枚山札が減ったかと思うと、残る1面を防御するために出てきた《羅原 Zr》が山札を10枚増やし、デッキ内容を強くする。
《カーニバル †Q†》を使うことによって《レイラ=クレジット》が両立され、相手からのリソース干渉も受け付けず。《カーニバル †MAIS†》のおかげで相手の主力シグニは消滅する。そして相手のマルチエナも妨害できる、と、無限防御系デッキでの衝突に強い無限防御デッキとして、このカーニバルは大きく流行した。

【遊具軸紡ぐ】の派生に近いが、『グロウコストに必要なカラー』という制約をなくし、『キー4枚+アーツ3枚』という最大限の防御数を得られるようになったという点を踏まえて、【紡ぐ夢限】は別のアーキタイプとして記載しておきたい。
 元々ルリグデッキが少なくて《レイラ=クレジット》が採用しにくいはずの《紡ぐ者》系のデッキの中で、この型だけは問題なくそれを採用することができたのも、大きい。

 それほどまでに、《レイラ=クレジット》は環境に大きな影響を与えるキーだった。【リワト】や【ミルルン・モル】のようなリソース干渉を必須とするルリグは大きく数を減らし、干渉を受けない防御系のルリグは伸び伸びと耐久ができるようになる。

 リソース干渉系のショットデッキが姿を消していく中、新たな詰めのアーツである《フラクタル・ケージ》を得たことで、【フラクタル2止めアン】が環境に姿を現す。
 実質的に無色2エナで撃てる《炎固一徹》を得ることによりカラーリング面での心配が大きく減ったこのアンは、この当時を代表するアグロデッキとして活躍した。

 相手がへばるまでシャトルランを続けるか、短距離走で試合を終わらせるか。この頃の環境は、ほぼどちらかで二極化していたと言えるであろう。
 相手より長く耐えられそうにないデッキは、盾埋めへの対策必須。【圧縮アロス】は《PICK UP》を使うことで《レイラ=クレジット》に引っかからないリフレッシュ手段を採用したし、止め系のデッキは《謳金時代》による相手ターンのライフバーンをこぞって採用した。
《紡ぐ者》系のデッキに点要求にもならない《コードキャッスル ヴェルサ》が積まれて《超罠 ミミック》や《羅星 ≡テンドウ≡》の対策がなされたほどだった。

 その状況は、基本的にK4弾でも続いた。
 むしろ、【ミミック入りエルドラ】がグロウコスト0のLv4を獲得、遊月――ひいては《焔悔 遊月・弐》を経由することによって花代がLv1でコインを獲得するようになり、その兆候は加速していくことになる。

 この弾においてオールスター環境に最大の影響を与えたのは、間違いなく《カーニバル ‐K‐》だ。
 真っ先にこのキーを使用したのは《紡ぐ者》系のデッキと【Lv6タマ】であろう。本来ならば屈指の出現難易度を誇る《撃弩砲 グスクル》は、たった1枚のエクシードで場に現れて、簡単にダメージをもぎ取るようになった。
 それぞれの場持ちの良いシグニや《羅原 Zr》を使用すれば相手ターンにエクシードを使うことも比較的簡単であり、特に《コードアンシエンツ ヘルボロス》コピーからの《コードアンチ カイヅカ》蘇生の流れは容易に防御回数を増加させてみせた。

 次いで、『場持ちの良いシグニ』という観点に注目するならば、《羅菌姫 ボツリネス》を保有し《コードアンチ メイジ》も使いやすいナナシにおいてもこのキーが使いやすかったというのは自明であろう。
【カニキーナナシ】は、『相手シグニをトラッシュに送ることでエナを作らせない』という対無限防御性能、《羅菌姫 ボツリネス》による無限防御性能、《羅菌 マイプラ》による序盤の防御性能に加え、この《カーニバル ‐K‐》による柔軟な対応力を携え、強力なアーキタイプとして環境に舞い戻ってきた。

 蘇生シグニとの相性も良く、【W5カーニバル】において《応諾の鍵主 ウムル》を差し置いて《カーニバル ‐K‐》が採用されるようにもなった。
《羅星 ≡タネガスペ≡》をサーチすることにより序盤安定力すらも手に入れたカーニバルは、やはり環境トップのデッキとしてメタゲームに君臨し続けた。

 右を見れば高速アグロ。左を見れば無限防御。
 大きく偏った環境はしかし、K5弾発売と同時施行される規制により、ようやく終焉を迎えることとなる。
《DYNAMITE》、《羅星 ≡テンドウ≡》、《復活》の禁止に加え、《幻怪姫 ユニカーン》+《コードイート トンカツ》の同時使用制限。『自分よりレベルの1つ高いルリグにしかグロウできない』というルール改定。
 徹底的なまでに『無限にライフを1点回復する方法』に規制が掛かることによって、安易な無限防御が跋扈する環境にようやく終止符が打たれた。



■無限発展■

 ついでに《水流の打落 ⁑マーライ⁑》も規制され、ほとんどの環境デッキにかなりの規制が入ったK5弾。

 結論から話してしまうと、このK5弾環境は、規制の入らなかった前環境までのデッキが活躍している期間がほとんどだった。
 なぜなら――そう、何故なら。後たったの2ヶ月で発売するからだ。WXEX01【アンリミテッドセレクター】が。オールスター全ルリグを強化する、待望のオールスター専用弾が。

 一応、この環境に強く影響を与えたカードを話しておくと、それは《炎のタマ》と《セレクト・ハッピー5》である。
 確実な1ターンの生存を作り出す上にコスト軽減まで持つ《炎のタマ》、0コストで幅広い汎用防御が使える《セレクト・ハッピー5》は、無限防御ルリグ達が消えてさあ暴れようという"轢き殺し"系のデッキ達をことごとく抑え込むことに成功した。

【W5カーニバル】、【Lv6タマ】はそのコンセプトが完全に再現不能になるも、普通に【カーニバルMAIS】【マユ】としてリペアで戦っていた。

 さて。誰もが新弾を心待ちにして手が付かなかった二ヶ月間はこれくらいで吹き飛ばしてしまって、それでは早速WXEX01の世界へと進もう!

 全オールスタールリグを強化すると公言され、実際にコラボルリグ以外のあらゆるルリグに対して強化カードが配られたこの弾。
 まず真っ先に環境へと姿を現したのは、ここ最近の環境を常に牽引し続けるあのルリグ。

 そう、【鎧袖カーニバル】だ。
《カーニバル ‐QN‐》は、明らかにリソースを奪い取る形をしたカードだった。
 相手の場とエナから最大5枚のカードをトラッシュに叩き込む効果によって、リソースに大きな制限を掛ける。また、コインをここで一気に吐き切ることにより、《カーニバル ‐MAIS‐》への即グロウが可能になる。
 一旦リソースを取ったら、後はリソースを取り続ければいい。カーニバルは前環境から引き続き《カーニバル ‐K‐》を採用すると、《羅原 Zr》+《羅星宙姫 ≡ラアー≡》+《鎧袖一触》のパッケージを採用することにより、更に相手のリソースを搾取し始めたのだ。
 初動は《カーニバル -K-》のおかげで安定し、中盤以降は相手のアドバンテージを奪い取る。そして、《羅原 Zr》によってリフレッシュが回避されながら、後は《真天使の未来 ガブリエルト》や《コードアンシエンツ ヘルボロス》といった対処困難なシグニが強い要求を相手に押し付けるのだ。
《羅星 ケプリ》、《羅星姫 ヒミコ》という強化シグニ達も、コンセプトを崩さずかつ強力だった。

 カーニバルがLv4までに得られるコインの枚数は、最大で6枚。《カーニバル ‐QN‐》が起動で使うコインは4枚で、《カーニバル ‐K‐》のアンロックに必要なコインは2枚。明らかに『そうなるもの』として組まれたであろうデザイナーズデッキが、しっかり『そうなるもの』としてメタゲーム入りを果たした形となる。
 一旦はアンフェアな無限防御へ舵取りを変えたカーニバルは、相手の息切れを誘いつつハイパワーなシグニで戦っていく、より強力なフェアデッキとして戻ってきたのだ。

 それを皮切りに、次々とLv5ルリグ達はメタゲーム入りしていった。

【奈落虚幸】は、《奈落の閻魔 ウリス》によって《エニグマ・オーラ》の回収を安定化させることで防御面を稼ぎ、過去より安定して《虚幸の閻魔 ウリス》にグロウできるようになったウリスだ。
『ライフそのものを大量に抱える』というプランは、幅広い相手に対して腐らない防御手段となる。
 下手な地雷への対抗策を持ち、その上で相手に自在にリフレッシュが掛けられるウリスは、『【鎧袖カーニバル】が目立ち、他のルリグはコンセプトが定まり切っていない』という当初の環境において有力なコンセプトデッキとなった。

【シェムハザ軸タウィル】も、EX1弾環境最初期に流行したアーキタイプだ。
《開きし者 タウィル=フィーラ》によりコイン枚数分のルリグ防御を手に入れ、《先導の堕天使 シェムハザ》によって相手のルリグ効果への耐性とアタックトリガー除去を得たタウィルは、攻撃力・防御力どちらの点も目に見えて分かるほど強化されたルリグだ。
 ここで一時期の流行を見せた後、あと数弾してとあるキーが出てから本格的な流行が始まるのだが――残念、それは6年目の話だから、ここには書けない。

《緑伍ノ遊 フラコスタ》はアイヤイの強化レゾナとして誕生したが、それは専ら【遊具軸紡ぐ】のフィニッシャーとして環境で立ち回り始めた。
 今まで《羅星宙姫 ノーザンセブン》による不完全な耐性で殴っていた《期之遊姫王 †ブラジャック†》や《似之遊 †オキクドール†》は、この新レゾナの力を借りて突如完全耐性シグニとして行動を始めた。
 ――このデッキが【遊具軸紡ぐ】であることに変わりはないのだが、その攻撃力の高さはここに到達するまでとは一線を画すと言って間違いない。【フラコスタ軸紡ぐ】と書いておくことで、新たなデッキタイプとして区別しておくことにする。
《幻竜神姫 バハムート》と《羅星宙姫 ノーザンセブン》で2点や4点を取っていた【紡ぐ者】は、4年目の終わりに《幻竜神姫 バハムート》より高い攻撃力に手を伸ばし、そして5年目の終わりにとうとう《羅星宙姫 ノーザンセブン》より強い耐性を掴み取った。

 では、ダブルクラッシュとアサシンは、《羅星宙姫 ノーザンセブン》による強固な耐性は、一体誰の物になったのだろうか?

 正解は、サシェの物だ。過去には《紡ぐ者》系デッキの特徴だったそれは、WXEX1弾の発売を皮切りにサシェの物へと変わったのだ。いや、元々《羅星宙姫 ノーザンセブン》はサシェ限定のカードなのだから、むしろ『戻った』が正しいだろう。
【ジ・アースサシェ】は今までのサシェとは完全に毛色が違うデッキだ。過去に存在した【保湿サタンサシェ】とも違えば、《羅星姫 リゲルル》が出てちょっとだけ研究された【スペル軸ジュピターサシェ】とも違う。
《白羅星 ジ・アース》はその圧倒的な攻撃力とリミットを制限する能力によって、あっという間にサシェというルリグを蹂躙者へと転身させてしまったのだ。
《博愛の使者 サシェ・リュンヌ》によるアーツ使用数の制限がこれほどまでに恐ろしいものだと、これだけ年月が過ぎた今になって、プレイヤー達はようやく気付かされることとなる。

【エボルブアルテマ】は、使っている最終ルリグこそ《アルテマ/メイデン イオナ》で昔の【アルテマイオナ】と一緒だ。1面のみしか場に出せない『別ゲーム』を繰り広げる点も昔と一緒。
 しかし、《エボルブ/メイデン イオナ》が一番肝心なグロウ条件を取っ払った結果、『別ゲーム』の開始はびっくりするくらい早くなった。
 本来はイオナ側のライフが1になってからスタートするはずだった1点要求の繰り返しが、ライフ4や5の時点から始まる。
【エボルブアルテマ】側はそれを見越して1点を守り抜く方法を大量に揃えているが、対面側は重い防御もシグニルリグの1点を防ぐアーツとして使わなければならない。いつもは頼りの《クトゥル・アビス》も、全てを守り抜く《炎のタマ》も、どう頑張ったってたった1点を返しに与える分の価値しか生み出さないのだ。

 サシェも、イオナもそうだ。『特殊なゲームを見越した専用構築』は、多様化するメタゲームにおいて常に驚異的な存在足り得るのである。

 相手に特殊な要求こそあまりしない代わりに、その圧倒的なまでの防御力と安定性でメタゲームに上り詰めたのが【スペル軸あや】だ。
 ちょうど今回の記事の1つ目の項目で《魔海の海蛇 レヴィアタン》による2回リフレッシュの強みを書いた。その2回リフレッシュという特権を、【スペル軸あや】も得ることとなったのだ。ただし、それは《うるとらあーや! Ⅳ》の自動効果によって勝手にもたらされ、メインデッキの枠を1枠も割く必要なく。
 EX1弾で登場した《超罠 ビリリガン》と《うるとらあーや! Ⅳ》は、どちらもあやが欲する優秀なリソース獲得能力を持っていた。『トラップにより防御力が担保されている』ことにより長期戦をこなせるあやが『デッキを全力で回転させて思うがままの要求を行う』という往年のソリティアデッキの性能を手にしたことになる。
 その性能の上がり具合は恐ろしく、トラップの壁をすり抜けられないあらゆるルリグに対して、このルリグはアーツを1枚も使わない完全試合すら各地で達成してみせた。

 もちろん、Lv5ルリグ以外にもメタゲームに姿を見せたアーキタイプもある。

【スペル軸4止めナナシ】は、《ナナシ 其ノ四ノ獄》があまりにも優秀な効果を持っていたために登場したアーキタイプだ。
 シグニの再設置を不可能にするという唯一無二のロック効果を使用することで、ナナシは蘇生による拡張防御を行う全てのデッキに対してメタを張ることができる。
 その特徴から【鎧袖カーニバル】や【ジ・アースサシェ】などの流行アーキタイプに対して強く出られるナナシだが、この時はまだ回転力に甘い部分もあり、大流行こそすることはなかった。これが大きく流行するのも――タウィルと同じく、6年目に入ってからだ。

 この弾で登場したルリグを利用しない珍しいアーキタイプとして、【天空リル】がある。
 過去のバニラルリグが採用された理由は、『《神聖なる美将 ジャンヌ》3面の突貫』という強気なコンセプトのためだ。3面全てが連続パンチ、3面全てがアーツ耐性。《時空の調 ゆきめ》や《ビカム・ユー》のバックアップも受けて、このデッキは暴れ牛のように未対策のデッキを蹴散らしていった。

 デッキを列挙しているだけで刃牙の全選手入場を書いているような気分になってくる。
 細かく各地のデッキを見ていけば入賞クラスにはあらゆるルリグの存在を見つけることができるだろう。しかし、それを全て書いていたら、ここはメタゲームの紹介ではなく全ルリグ紹介欄になってしまう。

 その強化度合いにはもちろんばらつきがあったが、間違いなくWXEX1弾は環境を大きく揺らした。
 大型大会に行ってみれば、どこを見ても別のルリグがそれぞれ別のゲーム展開を繰り広げる。ひとつ前までの無限防御ばかりのゲームとは全く違う、多様性を持った環境がそこにはあった。
『ここ最近はトップメタ達のシャトルランに辟易して顔すら見せていなかった』。そんなルリグ達がどんどんとメタゲームに姿を現し、一週間も経てばまた新たなアーキタイプが姿を見せる。

 キーセレクションの環境調整が災いしてか、ゲームの無駄な長期化でダレる時期も確かに存在した。
 しかし、運営陣による規制は、そしてWXEXという大きな波は、メタゲームの単調化を決して許さなかった。気が付けば、5周年を迎え6年目へとウィクロスが移行するその時、世界は様々なルリグ達の活躍で満ち溢れていた。

 これからの環境の多様化に、様々なルリグの活躍に期待を持たせて。5年目のウィクロスは、6年目のウィクロスへと、更にその先の発展へと、バトンを繋ぐ。



■メタゲームに新規で登場したデッキ群■

WXKP01~WXKP02
【ユニカーンメル】
【ミミック入りエルドラ】
【銃殺雪月】
【ピルキーあや】
【ダッシュタマ】
【アンキー散華ウリス】
【アトミックアロス】
【Lv6タマ】
【燐廻グズ子】

WXKP03~WXKP04
【W5カーニバル】
【紡ぐ夢限】
【フラクタル2止めアン】
【カニキーナナシ】

WXP05~WXEX01
【鎧袖カーニバル】
【奈落虚幸】
【シェムハザ軸タウィル】
【フラコスタ軸紡ぐ】
【ジ・アースサシェ】
【エボルブアルテマ】
【スペル軸あや】
【スペル軸4止めナナシ】
【天空リル】
























■そして(おまけ)■

 WXKP06【オルタナティブ】の発売日は、実はWX01【サーブドセレクター】の発売日より6日だけ早い(年を除き、という話だ)。
 この事実を盾にすればもうちょっとだけ記事が書けて、【2止めウムル】もギリギリ入るかな、なんてことを思いつつ。しかし実際WIXOSSが始まったのは3月31日のカードゲーマー先行収録なので、それについて記すのは"次の機会"に取っておくことにする。

 願掛けのつもりで、"次の機会"がまたしばらく先にちゃんと訪れることを願って、この5年間のメタゲーム変遷まとめ記事の〆としようと思う。
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ブログIDはclustertypeTにするつもりがタイプミスしました

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