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鍵から星へ

 オールスターを始めてみよう、という旨の記事を最近目にするようになってきた。

 ただ、色々と読んでみると、どうにも『オールスターはこういうゲームで、こういうデッキがすごくて……こうこうで、結論として楽しいゲームだからやってみて!』という形式のものが多いように感じる。
 それもいいけれど、そういう視点からのオススメではちょっと物足りないなと、ふと思った。




 そもそも、オールスターとキーセレクションでは、ゲーム性に大きな違いがある
 それは別レギュレーションが存在するゲームの面白さを表すと同時に、別レギュレーションへのとっつきにくさをも生み出しているのではないか。

 キーセレクションからWIXOSSを始めて、10面前後の有限防御数をやり取りするシーソーゲームで、ルリグアタックをずっと防御し続けるのが大事で、という基礎を作り上げてきたプレイヤー達がいざオールスターを始めようとしたとする。

 すると。
 そこには妨害がない限り無限に防御し続けるデッキがある。
 そこには1ターン目に6枚ライフを割ってゲームをスタートするデッキがある。
 そこには完全耐性を持ったシグニが連続で相手のライフを割り、かと思うと自ターンには手札1枚につき攻撃を1回無効化するデッキがある。
 
 右を見てみれば、死ななきゃOKと言わんばかりに序盤のルリグアタックを全スルーする人がいる。そして、ライフ0から延々と防御を続けている。
 左を見てみれば、場にいるだけで勝手に相手のルリグアタックフェイズをスキップするシグニを立たせる人がいる。耐性まで込みで、鉄壁を何度も作り続ける。
 そして正面には、毎ターン2回ルリグアタックをしながら、アーツは6枚・エクシードは9枚をさも当然のように使ってくる人が座っているのだ。

 冷静に考えて、キーセレクションのゲーム性で遊び続けていた人がこのレギュレーションに最初に抱く感情はなんだろうか。
 個人的な考えだがそれは『楽しい!』よりも『怖い』『やべぇ』なんじゃないかと思う。

 実際問題として話すと、僕はオールスターの大会にキーセレクションのデッキを持ち込んだ人と2回ほど対戦したことがある。手つき的に、ほぼ間違いなくキーセレクションから始めてオールスターを"覗いて"みようとした人達だった。
 1回目で僕が使っていたデッキはエルドラだった。相手が有限リソースで必死に防御を続ける中、こちらは毎ターン適当にライフを増やしながら《トオン》を埋めて、相手のリソースは《デメニギス》が毎ターン奪い続けて、気付いたらアーツ3枚残し(1枚は《レイラキー》)で試合は終わっていた。
 2回目の細かい内容はここでは話さないが、やっぱりそちらも圧倒的な差で決着が付いた。
 どちらも、終了後の相手の表情は苦笑いだったと記憶している。ただ、大会である以上、手を抜くわけにはいかない。

 多分そういうことなのだ。
 オールスターのゲーム性を知っている人からすればキーセレクションは"分かりやすいゲーム"という認識しかない一方で、キーセレクションのゲーム性しか知らない人にとってオールスターは"バケモノゲテモノ大集合"という認識に多分なってしまうのだ。
 繰り返し"多分"と付けているのは、僕自身はオールスターのゲーム性を知っているプレイヤーなので、キーセレのゲーム性しか知らない人の感性を100%理解しているとは言えないためである。
 ただまあ、"多分そうだと思ってて、その仮定は正しいであろう、少なくともそう考えているキーセレクションからの参入者は一定数はいるだろう"という前提でこの記事を書いているというのは留意してもらいたい。

『オールスターはこれこれこういうデッキがあって、こういう奴らが活躍してるゲームなんだよ』という記事に物足りなさを感じたのは、『オールスターの環境がやばくて気後れしちゃう』人に『こういうすごい奴がいるんだよ』という方向性の説明をしてもプラスにならないよなと思ったためだ。『ああ、やっぱやばい環境なんだな』で終わってしまいそうだと。

 なので今回は、そういう方向ではなく。
『あくまでキーセレクションとオールスターは別のゲーム性を持ったゲームだよ』という前提を置いた上で、それでもキーセレクションをやっている人に向けてオールスターを勧めてみる記事だ。

 なぜこのタイミングでキーセレクションプレイヤーにオールスターフォーマットを推奨するのか?
 それはキーセレクションをやっていてオールスターに興味がある人は、間違いなくアンブレイカブルセレクターの発売を期にオールスターを始めるのが一番いいと、それなりの自信をもって答えられるからだ。



■構築の話■

 レギュレーションの話をする前に、ちょっと横道に逸れて話したいことがある。
 それは、『デッキってどうやって組めばいいんだと思う?』という話だ。

 僕はデッキの組み方にはふたつの種類があると思っている。ひとつが『開発を信じる』組み方で、もうひとつが『開発を裏切る』組み方だ。

 ひとつめから説明しよう。
『開発を信じる』組み方というのは、それその通り、開発側が『こういうカードとこういうカードを組み合わせたら強いと思ってカードを作っているんだろうな。じゃあ、強い組み合わせを探り当てて、組み合わせていこう!』という組み方だ。

 開発スタッフがプレイヤーを苦しめるために弱いカードテキストを考えることは決してない

 だって、強いカードで楽しくプレイしてもらって、一杯カードを買ってくれた方が、儲かるからだ。カードゲームはプレイヤーにとって遊びのコンテンツでしかない一方、会社にとっては売り込むべき商材に間違いないのだ。
 だからこそ、強くする予定で考えられたカードが本当に強いかには、チェックがしっかり入っている。弱いカードを刷ってしまったら儲からないから。
 そりゃあ時々見落としはあるが、開発陣が強いと思って刷ったカードの組み合わせを使うと、ほぼ大体は一定の強さを得ることができる。強いデッキを正確に組みたいなら、この組み方が妥当といえる。いわゆる『デザイナーズデッキ』というものだ。

 一方で、『開発を裏切る』組み方というのは、『こういうカードとこういうカードを組み合わせたら強いと思った――んだろうけど、このカードとこのカードを組み合わせた方が強くない?』だったり、『この数合わせみたいなカード、実はメチャクチャ強いじゃん』だったり、ともかく開発の想定漏れを探していく組み方だ。

 僕はたった今、『時々見落としはある』と書いたばかりだ。見落としというのは、『強いカードとして刷ったはずが実際は弱くなってしまう』だけではない。『想定していたよりも強い組み合わせが見つかってしまう』ことも該当する。
 そうやって、開発陣が見つけられなかった穴を突破していくのが、この組み方だ。豊富なカードの知識とより大きな閃きがモノをいうこれを『プレイヤーズデッキ』という。

 さて、ここでレギュレーションの話に戻ろう。

 キーセレクションは、基本的には『開発を信じる』レギュレーションと言える。
 WIXOSSの誕生から5年が経過してカードの作り方に慣れてきた開発スタッフ達が、防御面数に大きな差が出ないようにし、強すぎる限定カードを出さないようにし、そして各ルリグの強化弾をちょっとずつ設けていくことでカードパワーの大幅なインフレーションを避ける。
 運営が定めた強さから大きく逸脱するデッキが誕生しないように防御面数もルリグ特色も設定されており、その結果として運営が想定しているであろうデッキを組めばちゃんと戦える環境が生み出されているのだ。
 弾が進むことでちょくちょくと『裏切る』デッキも姿を現してこそいるが、デザイナーズデッキの何よりも強いというレベルのプレイヤーズデッキは今のところは見つかっていない。

 さて、オールスターはどういうレギュレーションだろうか。
 ――先月に書いたメタゲームの変遷の記事を読んでいただくと分かるかもしれないが、少なくとも3年目までのメタゲームは『開発を裏切る』レギュレーションだった。
 4年目の《散華》の辺りでとうとう『開発を信じる』方針が現実味を帯びてきたが、それでもリムーブ権ルールの書き換えまでついぞ規制されることのなかった《ゴーシュ・アグネス》、次々登場する新たな轢き殺し、運営の想定を超えて時間を使い過ぎたライフ回復カードの面々と、そこかしこに『裏切る』要因があった。

 即ち、オールスターというレギュレーションを作り上げてきた思考法は、キーセレクションとは決定的に違ったのだ。これまでは。

 じゃあ今はどうだ?

 5年目の最後、アンリミテッドセレクターの発売。『相手のリソースを奪いながら5に即乗りしちゃいましょう』と言わんばかりのカーニバルが、『Lv4をコインで耐えてジ・アースで突撃してください』と説明しているがごときサシェが、『グロウ条件を無視してアルテマにグロウできちゃいます』と書かれているのが一目で分かるイオナが。開発が用意したデザイナーズデッキが、次々とメタゲームに名乗りを上げた。
 アンリミテッドセレクターは、オールスターで活躍しているルリグとしていないルリグを分析し、配るカードのパワーを調整することによって、『開発を信じる』ことが間違いにならないメタゲームを作り上げた。

 そして、全てのオールスタールリグを強化すると銘打ったアンブレイカブルセレクターの発売がもうすぐ。アンブレイカブルセレクターもアンリミテッドセレクターと同じように開発側が長い期間を置いて調整されたオールスター弾だ。
 これは要するに、キーセレクションにおいてこれまでやってきた『開発を信じる』組み方が、ちょうど周期的にオールスターでも正しいデッキの作り方になる周期なのだ。

 キーセレクションでの強化が『1~2弾分のスパンで一気に新規カードを配り、後はキーや時折出る汎用シグニとの組み合わせでちょっとずつ強くしていく』。
 アンリミテッドセレクターやアンブレイカブルセレクターの強化が『強いパーツのみを固めて出すことで環境のアーキタイプを一新、その後はキーセレクションの強化弾で構築を変えていく』。
 強いデッキの組み方に加えて、強化の方針も近い形であることが伺えるだろう。

 新たなレギュを始めるにあたってまず問題になってくるのは、そもそも新しいデッキをどうしたらいいかという問題だ。
『どういう組み方をすればいいか』『何をメインに添えて考えてみればいいか』。プレイヤーはそもそもここで躓く。
 この面において、『キーセレクションと同じ考え方で組むといい』『キーセレクションと同じく、とりあえず発売したカードを軸に添えて組めば間違いはない』といった形で、オールスターが最もキーセレクションに歩み寄るタイミングこそが、アンブレイカブルセレクター発売の時というわけである。

 

■ゲーム性の話■

 あれ? でもじゃあなんでお前はアンリミテッドセレクターの時にはオールスターに人を誘わなかったの?
 ここまで読んだなら、そんな疑問を持つ人がいるかもしれない。上で書いた話が事実なら、少なくとも『アンリミテッドセレクター』発売の時に1回、オールスターがキーセレクションに歩み寄ったタイミングがあったということになるのだから。

 でも、違うのだ。前回と今回ではもう一つ、大きな違いがあるのだ。
 それが『ゲーム性の点においても、キーセレクション勢がオールスターに入ってみるならここがいい』という点だ。

 さっき『ゲーム性がそもそも大きく違う』って言ってただろって? そりゃ言った。
 ゲーム性は確かに違うけれど、アンブレイカブルセレクターの発売後はそこそこの確率で、今までのオールスターよりもキーセレクション勢にとってとっつきやすいオールスターになると推測できる。そこがアンリミテッドセレクター発売時との最大の違いだ。

 どういう理由で分かりやすいオールスターになるか。ここまでで公開されたカードを見つつ話すとしよう。


①チアガールの登場

『開発を信じる』デッキの組み方が正しくなると言うからには、『じゃあ開発は一体全体どんな方向にゲームを持って行こうとしてるんだろう?』という部分に目を向けなければならないだろう。
 新ギミックの『チアガール』及び『チアゾーン』は、運営が持っていきたい方向性を知る一つの手がかりになるだろう。



 オールスターというゲームの特徴として『拡張防御が強い』というものがある。
 拡張防御とは、キーセレクションで言えば《ザロウ》や《シャハラザ》が当てはまる、アーツ外での防御手段全般のことだ。これが、オールスターでは非常に緩い査定で使用することができるのだ。
 特に多い拡張防御が『アタックフェイズに自力で場に出てくるシグニ』である。ルリグデッキから、トラッシュから、自分の起動効果で勝手に場に出てきて、そのまま壁として働く。

 加えて、相手に選ばれなかったり、相手シグニの効果を受けなかったりするのも、遠まわしにだが防御数を増やしているといえる。
 手札供給の少ないデッキが青タマの《アークゲイン》と対面したら攻撃の手が止まる。それと似たようなことだ。

 それありきで存在しているトップメタデッキが複数存在していると言っても過言ではないくらい、シグニ効果による拡張防御はそこかしこに蔓延っている。
 キーセレクションの《ザロウ》のようなものと違って、オールスターの拡張防御は場以外でもばしばし発動する。このギミックは、オールスターとキーセレクションのゲーム性を全く別のものにしている一因と言えるだろう。

 チアガールはこの現状に待ったを掛けられる。
 場にシグニが出てきて防御しようとするなら、それができないように出てきたシグニをその後で倒してしまえばいい。
 選ばれないシグニも、シグニの効果に耐性があるシグニも、ただただ殴りつけるだけなら問題なく除去してしまえる。
 場に第四のシグニとして出すことができるチアガールは、拡張防御を出し合うだけで防御回数が増えて行くオールスターに対して開発が提示した解決策と捉えることができるのだ。


②ルリグの攻撃性能の強化




 チアガールが拡張防御の効力を抑え込む一方、ルリグが高い破壊力を持っているのもアンブレイカブルセレクター新規カード群の特徴だ。
 上に載せたカーニバルもリルも、相手の行動を阻害し、自分の攻撃を通しやすくする効果を持っていることが見て取れる。

 カーニバルは分かりにくいが、『コインで相手のシグニを1枚サーバントに変え、カーニバル効果で相手の手札にあったサーバントの名前を言えば、ルリグアタックが高確率で通る』。あるいは『相手の場やエナにあるカードの名称を変えて、リソースをどんどん奪い取る能力』だ。



 もしくは、このタマやサシェのような、自身が持つ攻撃能力を最大限に引き出す自動能力。
 いずれにも共通しているのが、『防御力としてはまちまちな一方、攻撃力を補強する面においては性能が非常に高い』ということ。
 昔のルリグをちょっと調べてもらえれば、攻撃力のステータスに強く値を振っていることは理解してもらえると思う。

 1枚や2枚にそういう能力が書かれているならともかく、現状まで公開されているほとんどのカードにそういうテキストが書かれているのだ。
 開発は、間違いなくゲームを通しての総攻撃力を、ルリグを使って引き上げようとしている。

③総じて

 チアガールを全てのルリグに配ることによって、ゲーム全体での拡張防御の能力を抑えようとしている。
 ルリグの攻撃能力を、自シグニの戦法に即した形で大きく引き上げている。

『相手の拡張防御を抑えつけて、自分の攻撃を強くする』。これさえ分かれば、開発がどういう方針のメタゲームを作りたいのかは大体分かる。
 そう――メタゲームを無理矢理、高い攻撃力を持つデッキ同士のゲームへと作り変えようとしている。

 言い換えれば、『度を超えた防御をしがたいゲーム』を作ろうとしているのだ!

 さて。ここでちょっと話したいのだが、キーセレクションとはどういうゲームだっただろうか?
 毎ターン3面要求ぐらいが基礎、10面前後の有限防御数をやり取りするシーソーゲームで、ルリグアタックをずっと防御し続けるのが大事で、そういう基礎がある中でルリグの特色によって相性差が決まっていく……。そういうゲームだ。

 これからのオールスターは?
 高い防御力を高い攻撃力で均して、その上で各ルリグごとに特色に合った攻撃能力が設定されている。このゲーム性。

 ド派手にしたキーセレクションみたいじゃない?

 そう。 
 オールスターは、確かにキーセレクションと大きくゲーム性が異なる。しかし、アンブレイカブルセレクター発売後のオールスターのゲーム性を考察してみると、その正体は明らかにキーセレクションの延長線上に存在しているモノと言えるのである。

 ちょうどキーセレクションのデッキが多様化してきているのも、オールスターとの差を縮める一因だろう。
 キーセレクションで対応しなきゃいけない相手が増えてきて、様々な相手に対応するためにアーツ選択で色々考えてはいないだろうか? 
 同じだ。ルリグごとに特色を生かした攻撃をしてくるから、強い相手の特色に合わせたアーツを選択し、考えてプレイしていかなければならない。
 オールスターがキーセレクションの延長線上へと方向を改める一方で、キーセレクションもメタゲームの多様化によりオールスターと近い考え方になりやすいゲームとなってきている。

 アンリミテッドセレクターでは、そうじゃなかった。あちらは『コンセプトをそのまま強い方向へと伸ばす』ことに主眼が置かれていて、キーセレクションとは違う方向に線が伸びていた。あの頃はキーセレクションもバリエーションが少なく、本当に誘いやすいとは言いにくかった。

 この違いこそが、アンブレイカブルセレクターでこそオールスターに触れてみるべきだと僕が考える、メタゲーム方面での理由である。



■まとめ■

 色々書いたが、僕は『興味がなくても今絶対オールスターを始めるべき』とは言わない。
 興味がないことに無理矢理興味を持つのは難しい。

 ただ、『興味があるけど始め時が分からない』という人の背中をちょっと『アンブレイカブルセレクターはその始め時としてふさわしいと思うぞ』と押せたらな、とは思う。
 ほぼ間違いなく、アンブレイカブルセレクターは構築法もゲーム性もキーセレクションのノウハウが通用しやすくなっている。

 多分だけれど、開発側もそうなることを多少なりとも見越してカードを作っているのだと思う。キーセレクションを『WIXOSS初心者向けのフック』としていたのならば、どこかしらに『その後、WIXOSSにのめり込んでもらうためのフック』がなければおかしいはずだからだ。
 そのフックのひとつこそ、アンブレイカブルセレクターなのではなかろうか。

 というわけで、だ。
 もし興味を持っている人がいれば、あるいはちょっとか興味が沸いたという人がいたら、是非アンブレイカブルセレクターでオールスターを始めてみてほしい。
 カードプールが広いから、余裕があったら発売ちょっと前ぐらいに。
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